【開催報告】2025定時総会・講演会・懇親会 同志社大学小原克博学長が講演

Posted by on 7月 18, 2025 in 活動報告
【開催報告】2025定時総会・講演会・懇親会 同志社大学小原克博学長が講演

2025年7月12日、富山市ホテルグランクラスを会場に、『2025定時総会・講演会・懇親会』を開催いたしました。

タイムスケジュール
16:00~16:30 定時総会
16:36~17:38 講演会
17:55~19:30 記念撮影後、懇親会
19:50~21:20 2次会
・小原 克博        同志社大学 学長
・田中 裕一        同志社大学 学長室校友課長
・牧瀬 喬         同志社大学 校友連携コーディネーター
・松岡 敬  1979工卒  同志社校友会 会長
・山﨑 真  1994商卒  同志社校友会新潟県支部 支部長
・横川 浩信 1976商卒  同志社校友会石川県支部 支部長
・村上 博丈 1996経済卒 同志社校友会石川県支部 副支部長・事務局長
・橿尾 輝之 1978経済卒 同志社校友会福井県支部 支部長
・石田 達也 1986文卒  同志社校友会福井県支部 副支部長
・軽部 利宣 1981法卒  同志社校友会福井県支部 理事

16時から開始となった定時総会は、河合常晴支部長(1988商卒)の挨拶から開始となりました。続いてご来賓の皆様の紹介を行い、代表して松岡敬同志社校友会会長よりご挨拶を頂戴いたしました。

その後、河合支部長が議長を務め議事に入り、「第1号議案 2024年度活動報告及び収支報告承認の件」「第2号議案 2025年度事業計画(案)及び予算(案)承認の件」について、田口雅康監事(1987経済卒)の監査報告と共に、順次説明がなされました。両議案とも承認となっています。

休憩を挟み、小原克博学長に「同志社大学の新たなビジョンー同志社創立150周年を迎えて」と題し、ご講演をいただきました。終了後、「受講料が必要なのではないか」という声があったほどに、豊富な資料を基にした、母校「同志社」についてのお話です。

まず大学では、現在150周年を踏まえて、振り返りとビジョン策定を行っているところとのこと。150周年にふさわしい形で、伝統を確認するだけでなく、将来の展望をお伝えしたいと切り出された小原学長。
学長は、あちこちの支部でこうしてお話をされる中、我々卒業生に「同志社愛」があったとしても、「同志社や新島㐮についての知識」が十分ではないのではないか、という思いを持たれたとのこと。地域での同志社のプレゼンスを上げるためには、地域の同窓生・関係者の持つ同志社に関する知識、いわば「同志社リテラシー」というものが、各地域でのプレゼンスを高めるエネルギーになる。そのため、リテラシー向上につながる努力をなされたいと、まず最初にお話しされました。
明治期の様々な傑出した人物の中でも、新島先生は極めて冒険的な人生を送られています。その教えを我々同志社人が引き受けるならば、小さくまとまらず、耐えず冒険する同士でありたい、と。刀と小さな袋だけを携え、夜闇に紛れて誰も頼る者もなく、南北戦争後で国内も疲弊したアメリカに渡り、最大の支援者であるハーディ氏と出会い、約10年多くのことを学んで帰国するという、波乱万丈の人生を強く肯定するものです。
アメリカでの滞在中、こうした強大な文明国の誕生の裏側に教育の力があることを見抜き、帰国後は教育の力によって国を変えたいと考えた新島先生は、帰国前に寄付を募り、それが同志社の礎となりました。小原学長は、寄付によってできたとも言える同志社では、他大以上にその大切さを理解し、現在行っている寄付についても、ただ案内するだけでなく、熱い思いと心を動かす言葉が必要であると述べられました。
同志社英学校開学の後、大学設立を目指して国内でも奔走された新島先生は、その開学をご覧になることは叶いませんでしたが、同志社大学は今14学部16研究室、学生約29,000人、卒業生約37万人となる、日本を代表する私学となっています。こうした150年の歴史には近現代の日本の歴史が刻まれており、ある意味私学の歴史と言えるもの。今後についても、現在の延長に留まらない、挑戦的な未来を作っていくことこそが、同志社の在り様であると学長は仰います。
事例として挙げられたのが、同志社在学中に朝鮮独立運動に絡み投獄され獄中死した韓国の国民的詩人である尹東柱氏に対し、名誉文化博士号を授与されたこと。故人への授与は初となることから反対意見も多くみられた中、教育的・国際的意義から説明・議論を重ね、決定にこぎつけられたとのことです。
そうした同志社のオリジンとも言えるものが、キリスト教主義・真誠の自由・自治自立・智徳併行。「自由」という言葉は生前の新島先生が頻繁に使った言葉であり、卒業生にも同志社は自由だったと述べる人が多いといいます。ダイキンの井上名誉会長の「学生時代は自由だった、同時に自らが責任を負うことも促された」との言葉や、単なる自己勝手とは異なる、律するもののある自由を「真誠の自由」と述べた新島先生の遺言の言葉をご紹介いただきました。
また自治自立は、当時においては極めて挑戦的な概念で、「国の方針に粛々と従う人間の養成」を求める国家に対し、「自分の頭で考え、自分の足で立ち、自分で判断する人を輩出したい」という建学の想いもご紹介いただきました。また、知識の吸収だけでなく、その運用には徳が必要であるという智徳併行の理念。そうしたものは学内に閉ざされてあるべきではなく、新島先生が広く語りかけられたように、今でも外に向かって発信すべきものとのことでした。
特に「自治自立」という言葉はすべて一人で人に頼らずと読めてしまいがちなところ、自分の目的を強く語り、助けてくれる人やチャンスを見つける、現代で言う「巻き込む力」というような、新島先生の人と繋がる力の大切さを、強く説いていただきました。
今後の新たなビジョンとしては、現在骨格ができてきたところとのこと。新島先生の言葉の強さ、スケール感を、縮小化することなく伝えるだけでなく、そこから新しいオリジンを作ることが肝要との強いお言葉がありました。
特に、新島先生が大学の理念とされた「深山大沢」、そこにいる様々な存在が、それぞれの特徴に応じて育つことのできる多様性に満ちた環境を意味しているとされます。その維持には、地方出身者が同志社で学び、地方に帰って地方に還元・貢献し、また新たな地方からの学生が同志社へ向かう――そのためには校友会と大学とが共に新島先生の願いを繋いでいくことが必要であるとして、ご講演を結ばれました。
報告者自身、学生時代、「人間の3分の1はバカじゃないとだめなんだよ、でないと偉い人が戦争しようと言うと、いい子はみんなそっちへ行っちゃうからね」と仰る先生に出会い、そうした「同志社的なもの」に自然と触れていたことを思い出しましたが、同様のご記憶は、同窓の皆さんには、大なり小なりきっとおありかと思います。現在、大学HP「学長室だより(https://www.doshisha.ac.jp/information/president/index.html)」内、「学長とともに同志社について学ぼう(https://www.doshisha.ac.jp/information/president/learn/index.html)」に、新島先生の生涯や建学の精神、母校の歴史や現在の取り組みなどが、動画や資料として公開されてるとのこと、ぜひ興味のあるコンテンツからご覧いただくことで、ご自身の想い出なども、強く蘇ってくることでしょう。

ご講演後、懇親会場に場所を移して、まずは恒例の記念撮影。その後、懇親会を開催いたしました。
懇親会の開会は、再度河合支部長の挨拶に始まり、小原学長からご来賓挨拶を頂戴いたしました。その後引き続き、「同志社大学 2025 ALL DOSHISHA」に対し、150周年を記念して校友会富山県支部からの再募金の目録を贈呈させていただきました。

乾杯は、冬サロンにご登壇いただいた、渋谷武先輩(1979経済卒)のご発声。その後暫くの歓談ののち、初参加会員5名の方の自己紹介となりました。今回は校友会本部による「代理発送(本部が把握する県内校友の連絡先へ、支部からの案内を発送いただくもの)」を行っていただき、参加4名、ご欠席でも11名の方からお返事を頂戴しました。こうして地域での校友の輪が、ますます広がって行けばと思いつつ、初参加の方から楽しいお話を伺いました。

終盤に入り、カレッジソング、恒例となった元応援団員・坂本洋さん(2008工卒)によるエール付きチアーで盛り上がり、最後は坂本博志顧問(1983商卒)の挨拶と一丁締めで会を閉じました。小原学長、松岡会長が、ご公務のためやむなく途中退場なさったのが残念ではありましたが、新しい方々との出会いや旧友との再会といった笑顔にあふれた、和やかで楽しい会となりました。